9/2-3岩手・松川温泉~大深岳~三ツ石山周回、詳細山行記

10年前の晩秋の古い大深山荘泊以来の同行程、松川温泉から周回コース(避難小屋泊)。季節・新築の小屋泊ともなれば、ずいぶん違うだろう・・・・期待にたがわず、展望・花に恵まれ、新鮮な驚き満載の上出来の山行。

H18.9.2
前夜発、途中仮眠で東北道で岩手入り。登山口の松川温泉へ向かう。大きな登山案内板で登山口の確認。無人の登山者用駐車場(トイレあり)標高900mに納車、準備。

AM9:05発。今日も暑くなりそうな様子「峡雲荘」前経由、地熱発電所の様子を横目に、AM9:25車道と別れ、登山道入り。もちろん熊鈴をぶら下げる。ゲンノショウコ・ネジバナ・シオガマギク・ウツボグサの残り花、シロヨメナ盛り。

引湯・引水管沿いに続く木道交じりの歩きやすい道のり、立派な避難小屋に無料で泊まらせてもらって、これでは麓でたくさんお土産買わなければ申し訳が立たない。

AM10:25丸森川道標。源太ガ岳と松川温泉両方向2.3キロの中間点だそうな。整備された緩やかで歩きやすい登山道、山腹沿いのブナ交じりの林の中に延々と続く。盛りを過ぎたガクアジサイが登山道を彩る。マイズルソウ・ミドリユキザサが丸いウズラの卵のような実をつけている。

日陰で涼しい林の中、蔦や木の葉が一部艶やかな紅に染まる、秋の気配。

AM11:00冷たく豊富な流れの水場で休憩。ヨツバヒヨドリ・アキノキリンソウ・エゾリンドウ・花が増え、この先の急坂を慰めてくれる。グイグイ高度を上げ、汗も噴出し、ようやく本格的な登山道らしくなる。

AM11:50、源太ガ岳トラバース分岐、エゾリンドウが満開、ここから花の量が桁違いに多くなる。丁度、トラバース道から降りてきた青年に水場の様子を聞き、豊富に流れていることを聞き安心する。
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トラバース道分岐から山頂への道が、予想外の大花畑で驚く。トウゲブキの見事な群生、これほどに、この花が綺麗なものかと認識を改める。二日前に日光白根でマルバタケブキを沢山見たので、花の違いが一目瞭然。黄色が密生している分、こちらの方が見ごたえがある。

源太が岳山頂までの斜面、思いがけない花めぐり街道。主役トウゲブキ、準主役エゾリンドウ・ダイモンジソウ、他、アキノキリンソウ・イワオトギリ・シラネニンジン・イワイチョウ・タカネトウイチソウ・コバノギボウシ。残り花ウサギギク・ヨツバシオガマ・モミジカラマツ(星の形の実が多い)・シラネニンジン・ミヤマリンドウ。タカネトウイチソウの葉の一部が赤く染まる。赤い実はアカモノ・ベニバナイチゴ。

眼下に、松川温泉・地熱発電所。

AM12:40-50、数人のハイカーで賑わう源太ガ岳山頂1545m。風が弱いが日差しも弱く、過ごし易い。雲が多めの空、岩手山山頂は雲の中。秋田駒・焼山・八幡平はよく見える。懐かしい峰々との再会に胸弾む。うねうねと緑のたおやかな山並み、白い温泉の煙。眺めているこちらも、のんびりゆったりした気分になる。チラホラと登山道に人影。

大深山の肩へ向かう途中、エゾリンドウ・アキノキリンソウ、一足お先に紅葉のクロウスゴの黒紫の鈴なり、甘酸っぱくて美味しい。登山道にある、小動物の糞も紫色。

PM1:40エゾリンドウ満開、黄色い看板の大深肩経由、大深山荘へ向かう。ウソの鳴声。曲がった橋を通過。

初めの水場分岐の道標に素直に従い、ザックをデポし、空いている水筒とカメラ持参、幸せの銀の柄杓との再会にワクワクしつつ水場へ向かう。・・・と、意外や笹丈が深く半藪漕ぎ風の難路。足元は滑り易いものの妙にしっかりしていて「???」だが、木道の湿原が見え急下降で、湿原着。自然体の苔と冷たい湧き水の水場らしきところで給水する。小岩井の銀の柄杓も無いので、8月下旬の大雨で流されたのか??。ここまでの道と整備された木道の格差が大きい。

暫く思案の果て、大深山荘改築の折に登山道も整備され、花畑のトラバース道・左手先に延びる木道は、大深山荘に続いているのだろうと、湿原見物がてら、木道を進む。

PM2:00、何のことは無い、すぐ先に整備された水場があり、無事、銀の柄杓とも再会。給水し直し、記念写真。付近の花々は赤いモウセンゴケ・シラネニンジン・ウメバチソウ・エゾリンドウは咲き始め。終わりかけのキンコウカ。ホシガラスの鳴声。

無事、希望の水場で給水後、再び笹薮を漕ぐ気にもなれず、大深山荘への木道同経由で戻ることにする。行きの難儀がウソのような、歩きやすい新道。大深山荘前に出る。無人の小屋内に水を置き、デポザックの回収、往復10分。

昔、旧小屋時代のこの辺の登山道は雨天のせいもあったが、道も荒れ、飛び石伝いで、結構、歩きにくかった記憶がある。まさに時代は様変わり、登山道整備・土砂流出の手入れがされ、格段に歩きやすい。

PM2:30、標高1420m。大深山荘避難小屋に入室。まだ木の香が残る。トイレや床の掃除をして、二階の展望の良い角地に荷物を広げる。日帰りのハイカーの物音が聞こえる。

コーヒーと焼肉(カルビ牛・豚・玉ねぎ・ピーマン)で、食事。小屋ノートをみれば、ノートの表紙に水場の詳細・地図が書かれていて、最初にこれを見れば、深い藪漕ぎをしなくてすんだのだろう。が、昔の記憶のとおりに水汲みに行ったのだから仕方ない。

数年、笹刈りをしないだけで、あれほど、笹が深くなるとは恐れ入る。これを実感しただけでも、苦労の甲斐はある。

ノートの記事を読めば、紅葉時や夏の最盛期はそれなりに混みそうな様子。「他の小屋に比べて、ここの水場は遠い」と言う記述に苦笑。南アなど水汲みに一時間かかると言うのに。

もしや貸切の一夜かと思いきや、夕方、「生協の○○さん」で最近有名になった某大のワンゲルが入場。ヘルメットをぶら下げているので、行程を尋ねると、葛根田源流から登ってきたそうだ。礼儀正しい学生さんと同泊となる。

夕方一眠りの後、目が覚める。PM8:40、二人が酒飲みつつ話し込んでいるので、「学生さん、もう寝ようや・・・」優しく声をかけ就寝。大深山荘、今夜は計11人泊。

H18.9.3
AM4:00、ワンゲルさんと同時起床。小屋の二階から雲が多めながら、朝の八幡平が見える。八幡平駐車場の建物がキラキラ光る。朝食、荷物をまとめる。

AM5:30、ワンゲルさんに挨拶、小屋発。大深山方から先、朝露をたっぷり含んだ草が被さり、あっという間に下半身、ずぶ濡れ。ロングスパッツでは役不足、靴の中も上からの浸水でグショ濡れ。

AM6:00、大深岳山頂1541m。今日も晴れの良い天気。笊森山・秋田駒・乳頭山・大白森・曲崎山・岩手山が見える。和賀岳・森吉山・太平山は雲の中。今も熱を帯び、水蒸気を上げる岩手山肩、白い煙が見える。今日のルート、小畚山・三ツ石山がうねうね緑の山並みの向こうに見える。登山道が相変わらず草に覆われている様子。遅まきながら、雨具ズボンを履く。ついでに日焼け止めを塗る。

 懐かしい関東森方面分岐は、笹深く、これでは関東森へ行く気になれない。テーブルマウンテン大白森と登山道でハマグリ山っぽい曲崎山が、より遠くなった気がする。以前、ここから曲崎山・大白森・乳頭山への登山道は笹刈り直後で歩き易かった、前回の幸運の縦走に思いがよぎる。

草深い鞍部への下り、沢は涸れている。草原の道中、どこでもエゾリンドウが多い。さすが岩手県花。草原から小畚山へは、被る草も薄くなり、ジグザグ岩場の登り。ホソバイワベンケイも紅葉始まり。ミヤマダイコンソウ(葉)・キバナノコマノツメ(葉)・コケモモ(残り花)。終わりかけのミネウスユキソウ。高山らしい植生に変わる。来週になれば、岩手山の山頂部草紅葉が綺麗になるだろう。

AM7:00小畚山1467m。ますます三ツ石山が近く、山頂の石が大きく目立つ。振り返る大深岳・源太が岳の緑の稜線が、鯨のように横たわってみえる。遠景も冴え、雄大な景色に、岩手裏縦走路の真っ只中で笑みがこぼれる。風も穏やかで涼しく、これほどまでに天気が良ければ、どこを歩いても気分の悪かろうはずも無い。

記憶から消え去られた三ツ沼周辺。アオモリトドマツと草原・湿原の独特の雰囲気を楽しみ暫し撮影タイム。アザミがチラホラと咲く。

沼の木道を抜け、日本庭園風の樹林帯を通過。今日の最後のピーク、三ツ石山への緩やかな最後の登り。山頂に近づくにつれ、岩の形が獅子のように見えて面白い。岩の登山道に、ハクサンフウウロ・ミヤマキンバイがかろうじて一輪づつ残る。ダイモンジソウはまだ元気に花咲く。

AM8:35-8:45三ツ石山山頂1466m。山荘からの日帰り先着者一名。日焼け止めの塗り直し。

ここから、日帰りハイカーの姿増える。我らと逆コースで松川温泉基点、日帰り三ツ石~大深岳、周回の地元ハイカーいる。「ごくろう様です」岩手ならではの挨拶。

山頂の展望は結構な申し分ないもの。目前の岩手山が水蒸気を上げつつ、黒々としたシルエットで迫り、八幡平から裏岩手縦走路・懐かしい曲崎山・大白森、たおやかな秋田駒とツンと尖がる烏帽子岳。谷間の滝之上温泉の蒸気の向こうに連なる。雲海で内陸部は雲の下。うねうね続く山並みと温泉の湯煙・・・ピラミダルではないが、いかにも「山旅」という雰囲気満載。

ここから山荘までの登山道も様変わりしている。旧道のまっすぐな坂はオーバーユースで荒れ果て通行止め。松川温泉側の山腹トラバース道の木道で整備され、ゆるやかな登山道と変わっている。おかげで、花が多く、急ぎ足のつもりも、つい足が止まってしまう。

コバノギボウシの明るい紫の花が印象的に、他、トウゲブキ・エゾリンドウ・タカネトウイチソウ。眼下の三ツ石山荘の屋根が光る。源太が岳と一味違う花畑、ここも綺麗。今年は大雪・冷夏の影響で、特に北東北は花が残っている様子。

大松倉山山腹や岩手山姥倉山付近に、資材を運ぶヘリの姿を数回見掛ける。これから登山道整備の工事が進むのだろうか。

AM9:20-10:40デラックスな三ツ石山荘標高1300m。小屋の中に荷物を置き、早速、水場の確認。木道数十歩先、幸せの銀の柄杓(小岩井の柄杓)のある水場は枯れて、柄杓には溜まり水。この水場は枯れていることが多いので、あてにできない。

湿原は枯れたミズバショウの葉が目立つものの、花を探せば、サワギキョウ・ウメバチソウ・エゾリンドウもある。キスゲ・小鬼百合は実が鈴なり。

土台の擬石風の立派で大きな三つ石山荘は、内部も大きなストーブ付きの充実した物で、2005年版ヤマケイ一年分の蔵書もあり、営業小屋に負けないほどの立派な施設。これで水場が完備なら、宿泊利用の人が多くなるだろう。あまりに立派過ぎ、交通の便も良いし、ここに泊りにどんな人が集まってくるか、想像してしまう。

山荘の軒下に下げられている大きな鐘を二回鳴らし、山荘と湿原に別れを告げる。今回も大松倉山への木道に未練を残す。エゾリンドウ咲く木道分岐から、松川温泉へ向かう。

前回下山した際、2時間かかった記憶があり、温泉まで、標高差500m距離3.7キロ。

付近の林、アオモリトドマツの雪の頃の樹氷原を思わせる高原風の木道。ほぼ平行移動で、展望も無く、延々と歩き、道端にエゾリンドウが大振りな青紫の花をつけている。緩やかな中腹路、数組の日帰りハイカーとすれ違い。ここ数日の好天の為、ぬかるみも少なく、快適に下降できる。

ヒメコマツ・ブナ林・チシマザザの原生林の中、テングダケ・ベニテングダケ・山イグチの生え初め。整備されて歩き易い登山道、人気が無く、たどたどしい鳥の鳴き声。

マスタケの倒木を観察すると、そばに大きなヘビ(ヤマカガシ)がいてビックリ。大朝日の中ツル道で見たのよりも大きく首の赤みが濃い。証拠写真を撮り、マスタケに手も触れず退散。

一ヶ月前の雨の岩手山で、大きなガマガエル数匹見掛けたので、唯一ガマを捕食する蛇の山カガシがいて当然。こんな所をうろつくのが好きなのだから、熊にヘビに・・・嫌でも、慣れるというもの。

ブナの木にスキーツアー用の丸い道標は50番表示。麓も近い。いかにも簡単なハイキングコースらしい幅広の道のり。沢音が聞こえ。急坂の階段を一気に下り、赤い屋根と車の音が近づく。

AM11:05温泉の蒸気のパイプラインが空中を渡る登山口、「松川荘」前の車道着。とりあえず駐車場に向かうべく車道歩き。舗装道路に10センチ大の子供のヤマカガシの轢死体ペチャンコミイラあり。

AM11:10車数台の駐車場着。身支度を整え、松川温泉入浴。三軒の温泉宿のうち、登山口に一番近く空いていそうな「松川荘」500円にて入浴。たっぷりのお湯でラジウム含有の硫黄泉はいかにも温泉らしく、三日前の奥日光湯元温泉に引き続き、本格的硫黄温泉をたっぷり楽しむ。

食堂の豊富なメニュウに「ホロホロ鳥料理」が食べたくなるも次回のお楽しみ。小岩井のカップアイスを食べ、帰路につく。

にわか雨の西根町の道の駅で、新鮮安価な野菜(モロッコインゲン・かぼちゃ・きゅうり・トマト)を買い込み、ジャンボ焼き鳥と行動食の残りでお腹をなだめる。

経費節減のため、岩手・沢内村・秋田・横手市経由の帰路。横手湯沢道路・山形中央道(東根~上山)、七が宿・福島・国見から国道4号線。東北道。深夜、無事帰宅。

この記事へのコメント

2006年09月06日 18:17
三ツ石山荘は改築されたんでしょうか?
以前、冬に訪ねた時は古くてどうしようも無かったのに・・・。新しくなったんなら、また行ってみたい!。
なんだか、よく長虫に遭ったりしますね。(;´Д`)
写真は見せないで下さいね。くれぐれも記事だけで結構ですからね。(笑い)
2006年09月06日 18:38
山いろいろ様
この界隈、近年の改築ラッシュで、自宅よりも立派な避難(?)小屋に変貌しております。皆さん綺麗に使っていますからぜひ、実物をご覧あれ。
(私は昔の三ツ石山荘も好きでしたが・・・)。

長虫さんはいいヤツですよ、そんなに怖がりなさんな(笑)。
やっちゃん
2006年09月06日 19:00
こんにちは、大変ご無沙汰してます。
裏岩手縦走お疲れ様でした。
大深山荘湿原の水場、木道の整備に伴って移動したということでしょうか。
縦走路の水場分岐から入ると、新しい水場よりも松川温泉寄りの水場に出るわけですね。
湿原の水、冷たくて美味しかったでしょう。
ペットボトルに詰めて2リットル、昨年の縦走の際はおみやげに持って帰りましたよ。
2006年09月06日 19:40
やっちゃん様
>走路の水場分岐から入ると、新しい水場よりも松川温泉寄りの水場に出るわけですね。
「縦走路の水場分岐」しっかり標識が立っていたもので、ほんとに素直に(笑)。「山と高原」地図はなんて書いてあるんだろ???(慣れ親しんだ山域で、地図を持っていません)
小岩井の柄杓を目当てで行ったものですから、水は困らなかったのですが、戸惑ってしまいました。
湿原の水場は普通まずいのですが、ここは冷たくて美味しい水でしたね。