山の博物誌@最近読んだ本 & 書置き

未来日記です。


 「山の博物誌(実業之日本社)西丸震哉氏著」 は、すでに、クラシックな山の本の部類に入るのでしょうか??。著者が、あの「41歳寿命説」著者というのは知っていましたが。数年前「机上登山」を手に取り、読み始めてすぐにつまらなくなり放り出して以来、氏の山の本は、まったく興味が持てませんでした。


 最近、ちょっとしたきっかけでこの本を手にし、特に、動物・鳥の記述が面白く、読むことができました。
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 以下、長文ですが、本書から一部抜粋

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「山の動物」・・・
 山が好きで、山へ入っていく人達のうちで、山があるから行くんだというのは、最低の人種に属する。なぜなれば、本能のままに動けばそうなる訳だから。嘘だと思ったら、子供を見たまえ。道ばたにジャリが積んであれば、わざわざ登ってみなければ気がすまない。水溜りがあれば、ザボザボ入って喜んでいる。しかし子供と一緒にされて怒る必要はない。知らない所へ行ってみたい、知りたいという、純粋な欲望があって初めて、人類はここまで進歩してきたのだから。その気持ちを持ち合わせていない人は、今後、向上していくことは望めない。パイオニアの精神は、山登りという行動にすんなり繋がるものなのだ。

 だが、一度行ってしまったら、もう何もかも知ってしまった気になって、二度と行かない。人に聞かれても、ああ、あそこならオレは行ったよ、だけで済ませてしまう。そういう人は、他の人の尻馬に乗っただけで、ただのヤジ馬に過ぎない。行った先々で、いろいろなものに出くわすはずだが、そういうものに興味をもてない人は、それっきりで向上せず、自分もその中から楽しみを引き出すことができない。これは不幸な人間だ。おそらく社会生活をしていても、仕事にその楽しみを見いだすこともできず、いつも文句ばかりをならべて、グズグズいっているに違いない。

 山頂へ到着することを、征服したと表現する人は、山から何物をも得られない。山で出会うものは、みんな敵だと思って、開き直り、心を硬くし、すべてをなぎ倒して進む。そして、自分は、山の土着の愛すべき先住者たちを蹴散らして、平気でいる。山の生き物たちは、イヤなヤツがきたと逃げてしまうから、そういう人は心のふれあいのないただの地面の盛り上がりを見ただけでそんなものだと思いこむ。

 自然を、山を愛する人は、出先きから、我が家へ帰っていく気持ちで山に入る。こういう人には、無茶な行動による遭難など起こるはずがない。通りすがりの鳥や虫やケモノたちは、みんな昔馴染みの友だちでなければならない。こちらが愛情ある眼差しで見れば、野性のものほど敏感にそれをキャッチして、安心して迎え入れてくれるものだ。自然界にはニッコリ笑って人を斬るような裏切り者はいないものだ。

 血を吸う悪いヤツがいるじゃないかとおっしゃるか?、彼らは生きるために、それが必要なように運命づけられているだけのことだ。ケチをしないで少しぐらいやったらいい。いやなら、とられない工作をすればいい。あんただって牛を殺させて、その肉をガツガツ食うじゃないか。要するにみんな同じなんだ。

 どうしても好きになれない動物がいるという人は案外多い。最も嫌われるものは、ヘビ、ムカデ、カエル、ナメクジ、クモ、ガ、毛虫などだが、みかけが嫌だというだけで、やたらと排除していいものではなかろう。人相が良くないからつき合わない、と言っていたら、社会生活などできっこあるまい。だが、見た目が悪いと、損なことは確かだ。神様くらいに美しい心を持っていても、顔の造作が悪いために結婚できない人がいるし、鬼みたいな悪いヤツでも、キレイな顔をしていると、よってたかってチヤホヤされる。まったく世の中、まちがっとる。

 どうしても好きになれない相手が、人でも虫でも何かあるものだ。極端なものは仕方がないが、なるべく広いつき合いをしようじゃないか。それだけ楽しみが増えるというものだ。まあ、ただ山を走り廻るだけじゃなく、そこに住む連中に仲間入りさせてもらって、いっしょに仲よく暮らそうではないか。



「山の自然」・・・
 これから先、山の事故はどんどん増えていくに違いない。山へ行く人数がやたらと多くなったからと言うだけでなく、人間が自然界に順応しにくく変化してきているからだ。以前は、寒ければ震え、暑ければタラタラ汗を流し、三十分位のところなら何とも思わずに歩いたし、ボッチひとつ押せば用が足りるものなんか無かった。

 今の我々の生活環境は、温室に閉じこもった○○○(足の不自由な人の差別的用語)と大差ない状態だ。だから、風のひと吹きで若後家さんが簡単にできて、それが当たり前のように受け入れられる。戦争中、相手を研究もせず、知ろうともせず、やみくもに突進して玉砕した経験を持ちながら、自然界に入る場合にそれと同じことをやって、やられるんだから、遭難の増加は、ごく当たり前の事が着実に進行しているだけの事だ。

 下っている沢が妙に楽で緩ければ、遠からず滝場がありそうだと用心し、ホールドに恵まれた岩場ならば、反対側は逆層だろうと見当がつくのは、地質学を勉強しなくても、常識で判断できる範囲の話なのだ。まかせておけば好きなものがさっと目の前に出てくるような世の中になると、あらゆる面で、グウタラを決め込む性質が後天的に身につき、応用のきかない人間ができあがる。
 ・・・(略)・・・
 だいたい、ガイドブックがやたらと売れるのはおかしい。そしてほんの少し所要時間がずれている程度のことに大騒ぎをする。一分でも早く着くとオリンピックで入賞したような気になったり、もっと酷いのは、書いてあるとおりの時間に合わせて休んだりする。そして書いてないものは見ようともせず、こんなところがあると聞けば、ワッと押し寄せて、紙くずの山をつくってぶち壊してしまう。

 何が自主独立だ。ちゃんと自分の足で立っている人間は、そんなくだらない能書きをブツブツいったりしないものだ。自分の目でまわりをじっくり見回し、誰も教えてくれなければ、自分で知ろうと心がければいいのだ。そうすれば自然界は決してケチなどせずに、知識や楽しみをあとからあとから提供してくれて、いちど首を突っ込んだ人を飽きさせる事は絶対にない。

 自然というものは当たり前の話だが、決して不自然な事はやらかさないものだ。だから天文でも気象でも、理にかなった動きしかしないのに、自然の暴威に圧倒されたというのは、知識と心構えと準備とが不足だったということで、決して仕方のないことではない。

(本書から抜粋終わり)

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 この本は「博物誌」という割には対象物によって書き込む内容量に偏りがあるし、西丸氏独特の、とにかく偉そうで押しつけがましい言い回しが良くも悪しくも特徴です。人によっては、読んでいてちょっと不快になったりもするでしょう。
    ↑自分もこう思われているんだろうな・・・とか、反省してみる


 言わんとする内容は悪くないのですが、氏のこの特徴(文体・言い回し)を気に留めず読める人には、面白い本かなとおもいますね(いまどき、こういう頑固じいさんの存在自体が貴重です)。

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                          「死んだふり」中のヒキガエル
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書置き

 お待たせしました、ようやく天気の良い週末です。しかも暖かそうですよ。東北の山へ紅葉見物に出かけてきます。皆様も、よい週末をお過ごし下さい。

 暫く、ブログ更新はお休みします。では~・・・







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この記事へのコメント

sanae
2008年10月02日 18:35
味のある引用文ですね。
ウンウン・・と頷きながら読ませていただきました^_^;

週末は東北ですか、いってらっしゃ~い。

2008年10月06日 19:58
sanae様、ご訪問・コメント戴き有難うございます。
 ウンウン・・と頷きながら読めるアナタは人格者です(笑)。人それぞれの想いがあって山を歩くのですから、余計なお世話なのかもしれませんケド。あそこもここも登りたい意欲があるのがなにより元気な証拠ですし。紅葉のおっかけも忙しくなりますね~。
2008年10月06日 20:03
ミータカ様 留守中にお邪魔です。
留守中にお邪魔も変な言い回しか、居ないんだから邪魔になるはずが無い。
その隙を狙って勝手に上がりこんでいる。
ご紹介の頑固じいさんよりまだ悪い。
でも、頑固じいさん、良いところを突いているね。
自分も「ただの地面の盛り上がり」を歩く能無し野郎と言われないように素直な気持になろう。
海岸でじぃっと波を見つめ、あの波の1つ1つが物理の法則通りに動いているんだなあと妙に感心したこともあるけど、馬鹿だなあ、物理の法則ができる以前から波はあったのに。
でもそんな心が大事なんかなあ。
ところで、そろそろ山からお帰りになっている頃かな。
レポと写真楽しみです。
2008年10月07日 12:40
甘納豆様、ご訪問・コメント戴き有難うございます。
 あれれ?甘納豆さんも頑固じいさん派?(笑)。同じ山を何度も歩くと登山道の様子もわかってますから、花や鳥の様子も目に留まりますよ。まぁ、せっかく山の中で遊ばせて貰っているのですから、余裕があるとき位はノンビリと楽しみましょうか。
本読みと
2008年10月09日 05:02
今晩は。遅まきながら、失礼します。
この本はめちゃくちゃおもしろそうです。
ある意味、言葉は乱暴ですが、核心を突くこの鋭い感性、なにげに「山の自然学」の領域です。
海外へも配ってくれるサイトがあるのですが、そこを調べたら無常にも“在庫なし”でした。残念!
2008年10月09日 18:22
本読みと山歩き様、ご訪問・コメント戴き有難うございます。
 読書家の皆さんからコメントいただき恐縮でもあります。この本の元本の「山の動物誌」の方が、氏の独特の挿絵もついて、面白いです(薄いので読みやすいし~)。西丸氏の登山者の視点で見た山の動物本ですが、似た題名の本があります。
 宇江敏勝氏『山びとの動物誌』は、「生活の場を動物と共有する中での動物誌」との書評もあって、これも面白そうなので、私は、今度、この本を探して読んでみますね。